【コラム】カスハラが職場に与える影響
カスハラとは、過剰な要求や暴言、威圧的な態度など、社会通念を超えた顧客からの迷惑行為を指します。単なるクレームではなく、従業員の心身を脅かす深刻なハラスメントです。
なお、「カスタマーハラスメント」という言葉に法的な定義はありませんが、厚生労働省では次のように示しています。
「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により労働者の就業環境が害されるもの」 (引用元:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」)
このように、カスハラは単なる不満表明ではなく、就業環境を脅かす深刻な問題と捉えられています。
そこで今回は、カスハラが職場に与える影響について、最新のデータをもとに解説します。
1. 従業員に与える深刻な影響
まず、カスハラが従業員に与える影響は想像以上に大きいと言えます。
たとえば、パーソル総合研究所の調査によると、顧客折衝があるサービス職のカスハラ経験率は35.5%と言う結果が出ています。(2024年実施「カスタマーハラスメントに関する定量調査」より)
また、UAゼンセンの調査によると、直近2年以内に迷惑行為被害にあった割合は、全体の46.%と言う結果が出ています。(2024年実施「第3回カスタマーハラスメント実態調査」より)。
そして、カスハラを受けた従業員の多くが、以下のような心理的・身体的影響を感じています。
- 嫌な思いや不快感が続いた
- 腹立たしい思いが続いた
- すっきりしない気持ちが続いた
- 同じようなことが起こりそう怖かった
- 寝不足が続いた
- 心療内科などに行った
このような状態が続けば、メンタルヘルス不調や休職・離職へとつながりかねません。
しかしながら、こうした状況に対して相談体制が整っていない職場も少なくないのも現状です。
そのため、自分1人で対応したなど、従業員が孤立した状況で被害に耐えている可能性を示していると言えます。
2. 組織全体への影響も無視できない
次に、カスハラは従業員個人にとどまらず、組織全体にもさまざまな悪影響を及ぼします。
- 対応に時間を取られ、本来の業務が圧迫される(生産性低下)
- 職場内の雰囲気が悪化し、チームの連携が取りづらくなる(生産性低下)
- 顧客対応に自信をなくした社員が増え、サービス品質が低下する(顧客満足度の低下)
- 不適切な対応がSNS等で拡散され、企業の評判が損なわれる(企業の評判への悪影響)
- 離職・休職が増加
- 人手不足や教育コストが増加する
これらはすべて、カスハラが放置されてしまうことによって生じる二次被害です。
組織としても「誰か一人が我慢すればいい」という姿勢では、持続的な事業運営に支障をきたす恐れがあります。
3. 正しい理解と社内共有が第一歩
このように、カスハラは職場に深刻なダメージを与える社会課題です。
まずは、管理職を含めた職場全体が「カスハラの影響」を正しく理解し、共通認識を持つことが第一歩となります。
従業員が「守られている」と実感できる環境を整えるには、恐怖や無関心ではなく、正しい知識と対応ルールの共有が欠かせません。
そのうえで、相談体制の整備や、冷静に対応するための教育・研修も必要です。

