【コラム】管理職必見!部下のメンタルヘルスを守る「二つの視点」とは?

現代の職場では、変化のスピードが速く、業務負荷も増えがちです。
その中で、管理職に求められる役割の一つが「ラインケア」。
ラインケアとは、部下の心の健康に日常的に関わるケアのことです。
ただし、単に様子を見るだけでは不十分です。
重要なのは、二つの視点(目線)を意識することです。
視点1:心の健康を育む「予防の視点」
まず一つ目は、日常的にメンタル不調を防ぐための視点です。
これは「予防医療」のようなもの。
部下がメンタル不調に陥ることを未然に防ぎ、日頃から安心して働ける環境を整えることで、ストレスの蓄積を防ぎます。
では、具体的に何をすればよいのでしょうか?
✔「当事者意識」を持つ
部下の不調は、個人の問題だけではありません。
業務量、職場の雰囲気、評価の不透明さなど・・・
「職場環境や自分のマネジメントが原因かもしれません」という視点がスタートラインです。
✔「公平性と透明性」を保つ
例えば、同じような成果でも評価が違う、業務に偏りがあるなど・・・
そのようなな状態では、部下に不満や不信が生まれます。
納得感のあるルールや伝え方を心がけることで、不要なストレスを減らすことができます。
✔「日頃の対話」で信頼関係を築く
日々の雑談や声かけなど部下と積極的に対話し、信頼関係を築くことで、いざというときの助けになります。
「この上司には話しても大丈夫」そう思える関係性が、早期相談の鍵になります。
実際に、私の知人であるある管理職の方は、出社時に毎日フロアの全員にひと言ずつ声をかけることを習慣にしています。
挨拶やちょっとした一言でも、返ってくる表情や声のトーンから「いつもと違う」変化に気づけることがあるそうです。
もちろん、「忙しいのに何してるの?」と思われるのでは…と勇気がいることもあるそうです。
それでも続けていくうちに、人間関係の距離が自然と縮まり、気軽に話しかけてもらえるようになったといいます。
時間はかかるかもしれませんが、そうした積み重ねが、信頼感のある職場づくりの土台になります。
✔「自分自身のセルフケア」も忘れずに
管理職自身が疲れていたら、部下を支える余裕がなくなります。
管理職自身が自分のストレスに気づき、心身ともに健康でいることは、部下への良い手本となり自然と周囲に安心感を与えます。
視点2:異変に気づく「SOSをキャッチする視点」
もう一つ大切なのは、メンタル不調に早く気づき、対応する視点です。
どれだけ予防に努めても、メンタル不調に陥ってしまう部下もいます。
そんな時に必要になるのが、この「SOSをキャッチする目線」です。
放置せず、すばやく適切につなぐことがポイントです。
✔「小さなサイン」を見逃さない
部下の表情、声のトーン、遅刻が増える、ミスが目立つ、急に発言が減る…。
これらは、いつもと違うサインです。
違和感に気づくには、普段から部下をよく見ておき、いち早く気づくことが大切です。
実際にに、ある課長の事例をご紹介します。
朝礼のとき、部下の一人がいつもよりうつむきがちで、発言もありませんでした。
「何かあったのかな?」と気に留めていた課長は、昼休みにさりげなく声をかけました。
すると部下は、家族の介護と仕事の両立に悩んでいることを、涙ながらに打ち明けたのです。
課長は本人の了承を得たうえで人事に相談し、勤務時間の一部調整を実施。
その結果、部下は少しずつ安定を取り戻していきました。
このように、何気ない変化に気づき、声をかけることが、支援への第一歩になります。
✔「適切な声かけ+傾聴」が基本
「最近ちょっと元気ないね。何かあった?」
こうした声かけが、部下の気持ちを解放するきっかけになります。
すぐにアドバイスをせず、まずは受け止めることが大事です。
「それはつらかったね」と、共感の言葉を添えましょう。
✔「専門家への連携」をためらわない
管理職は、専門家ではありません。一人で抱え込む必要はありません。
部下の状況に応じて社内の産業医や保健師、人事などと連携し、早めに専門的支援へつなぐことが最も重要な役割です。
また、部下から得た情報は取り扱いに注意し、本人の許可なく絶対に他言しないという、守秘義務を徹底することも信頼維持の基本です。

