【コラム】クレームの3分類と見分け方を知ろう② 過剰要求クレーム
要求が強すぎるとき、どう対応する?

お客様の声に耳を傾けることは大切です。
しかし、すべての要求に応じる必要はありません。
なかには、「それはちょっとやりすぎでは?」と感じるような過大な要求や、理不尽な主張が繰り返されることがあります。
このようなケースを、私は「過剰要求クレーム」と呼んでいます。
過剰要求クレームとは?冷静な説明と線引きが必要
2.過剰要求クレーム:冷静な説明と線引きが必要
「過剰要求クレーム」とは、企業に明らかなミスがない、あるいはあったとしても、顧客の要求が社会常識を超えているケースです。
たとえば
- 「店員の対応が気に入らなかった。だから慰謝料を払え」
→ 対応に不満があっても、金銭請求は過剰。 - 「謝罪だけでは済まない。土下座しろ」
→ 社会的に許容されない謝罪の強要。 - 「その日のミスで人生が狂った。全額返金しろ」
→ 損害の範囲を超えた、誇張された要求。 - 「このクレーム対応のためにかかった私の時間を1時間分時給換算して払え」
→ 根拠のない労務対価の請求。 - 「社長を今すぐ呼べ。お前じゃ話にならん」
→ 権限外の対応者を繰り返し要求して、話を進めさせない。
こうした要求は、「怒りの理由」が正当であっても、求められていることが過剰です。
見分けるためのポイント
次のような特徴がある場合、過剰要求クレームに該当する可能性があります。
| チェックポイント | 内容 |
|---|---|
| 事実と異なる、誇張された主張 | 被害が大きく見せられている/事実と食い違う |
| 社会通念上、過大な要求 | 金銭、謝罪方法、対応者の処分などの過剰要求 |
| 話が本題から逸れる | クレームの内容から脱線し、人格や態度への攻撃に変化 |
| 解決よりも支配・発散が目的 | 要望に一貫性がなく、怒りをぶつけることが目的化している |
実際の現場での例
ある飲食店で、注文の品を出す順番を間違えてしまったケース。
スタッフはすぐに謝罪し、再提供も行いました。
しかし、その後も「お前の態度が気に入らない」「一生忘れられないトラウマになった」などと言われ、最後には「慰謝料を払え」と強く要求されました。
→ このようなケースは、謝罪で終わる正当クレームを超えていると判断し、「過剰要求」として対応を切り替える必要があります。
対応のポイント:冷静さと一線を引く勇気
過剰要求に巻き込まれないためには、感情を交えず、冷静に線を引く対応が必要です。
対応の軸:
- 話を遮らず傾聴する
→ まずは話を最後まで聞く姿勢を見せ、共感のひと言を忘れずに - 毅然とした線引き
→ 「申し訳ありませんが、それはお受けできません」と明確に伝える - 理由を事実と規定に基づいて説明する
→ 感情ではなく、会社の方針やルールで説明する - 長時間対応には時間制限を設ける
→ 「あと○分で対応を終了させていただきます」と伝える - 可能であれば複数人で対応する
→ 1人で抱え込まず、上司や同僚と一緒に冷静に対応。記録も必須。
「応じないこと」も誠実な対応のひとつ
誠実であろうとするあまり、無理な要求にまで応えてしまう。
それでは、対応する側が疲弊してしまいます。
正当な要望と、過剰な要求の境界線を持つこと。
それが、自分を守りながら、企業としての信頼を守ることにもつながります。
次は、最後の「ハラスメントクレーム」について解説します。

