【コラム】カスハラが実際に起こった時の対応

カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)は、従業員に対する精神的・身体的ダメージをもたらす深刻な問題です。
いざカスハラが発生したときに備えて、企業として取るべき具体的な対応について整理しておくことが重要です。
以下では、厚生労働省のガイドラインや実務的な観点をもとに、カスハラが発生した際の対応フローを紹介します。
1. 責任者への情報共有と引継ぎ
カスハラが疑われる顧客に対しては、決して一人で対応しないことが原則です。
定められた対応マニュアルと連絡フローに従い、責任者に連絡しましょう。
現場の状況や顧客の様子を正確に伝え、対応を引き継ぐことが重要です。
2. 事実関係の正確な確認と事案への対応
次に、顧客の主張を丁寧に聴き取り、内容を記録します。
カスハラ行為者の言動は矛盾を含むことも多いため、正確な記録が後の対応を左右します。
そのうえで、第三者の証言や物証なども含め、事実を客観的に確認しましょう。
商品やサービスに不備がある場合には謝罪し、対応が必要ですが、過失がない場合は毅然と要求を断ることも必要です
(参考:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル)。
3. 現場対応の可否を判断する
カスハラの状況によっては、現場での即時対応が危険な場合もあります。
たとえば、暴力や恐喝など犯罪に該当する可能性がある場合は、本社や本部と連携し、対応を一時保留する判断が必要です。
4. 社内方針の決定と顧客への報告
持ち帰り対応となった場合は、会社としての方針を明確にし、顧客に説明する必要があります。
この際、顧問弁護士と連携して法的観点からの助言を受けることも有効です。
5. 被害を受けた従業員への配慮の措置
カスハラ対応後の従業員は、心身ともに疲弊していることがあります。
暴力行為などがあった場合は、ケガの有無を確認し、必要に応じて医療機関への受診を促しましょう。
また、メンタルヘルス不調への配慮として、産業医との面談や社内カウンセリングの活用もよいでしょう。
(参考:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル)。
6. 再発防止のための取り組み
対応後は、事案を振り返り、マニュアルの改善や対応の見直しを行いましょう。
同様の事態が再び起こらないように、職場全体での学びと共有が不可欠です。
再発防止の取り組みは、継続的に改善を重ねる姿勢が求められます。
(参考:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル)。
*プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止
最後に、相談者のプライバシー保護も忘れてはなりません。
記録や対応内容の取り扱いには細心の注意を払い、従業員が安心して相談できる環境づくりが必要です。
また、相談を理由にした不利益取扱いは禁止されており、これを明示的に周知しておくことも企業の責任です。
(参考:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル)。
まとめ
カスハラは、即時の対応と同時に、組織としての備えが問われる課題です。
適切な対応フローと、従業員を守る仕組みを構築しておくことで、被害の最小化と組織の信頼維持につながります。
企業としては、「現場任せ」にせず、組織的かつ冷静に、そして法令に則った対応を積み重ねていくことが、最も重要です。

