【コラム】カスハラ対策は待ったなし! 厚労省「防止指針」来年2月公表へ 企業が今すぐ着手すべきこと
カスハラ防止対策!公表予定

企業の総務、人事、法務担当の皆さんは、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策を喫緊の課題として捉えていらっしゃることと思います。
先日、厚生労働省は労働政策審議会にて、「職場におけるカスタマーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針」の告示日を来年2月(予定)とする方針を示しました。
この指針は、改正労働施策総合推進法に基づき定めるもので、2026年10月1日の施行が予定されています。
つまり、企業には施行までの約1年半、従業員を守るための体制構築が「義務」として課されることになります。準備期間は限られています。
本日は、この新しい指針の核心部分と、企業が今すぐ準備すべき具体的な措置について、分かりやすく解説します。
1. 指針公表の背景と「義務」化される理由
まず、この指針がなぜ企業にとって重要なのでしょうか。
この指針は、企業(事業主)に対して「お客様は神様」という旧来の姿勢を改め、従業員を守るための具体的な行動を求めます。
指針では、「職場におけるカスタマーハラスメント」を、以下の3要素を満たすものと定義しています。
- 顧客や取引先等の言動であること
- 社会通念上、許容される範囲を超えていること
- それによって労働者の就業環境が害されること
そして、守るべき対象には、正社員だけでなく、パート、アルバイト、派遣社員も含まれます。
場所も、自社オフィスに限らず、業務を行う全ての場所が「職場」とみなされます。企業が負う「措置義務」の範囲は非常に広いのです。
2. SNSの脅しや無断撮影も「精神的な攻撃」に
「社会通念上許容される範囲を超えた言動」として、指針(案)では具体的な事例が挙げられています。
特に注目すべきは、従来の暴言や暴力だけでなく、デジタルハラスメントへの対策が明確に求められている点です。
具体的に「アウト」とされる言動の例
「内容が不当なもの」として、不当な金銭要求や土下座の強要などが挙げられる一方で、「手段・態様がひどいもの」として、以下のような事例が「精神的な攻撃」として列挙されています。
- SNSへ悪評を投稿することをほのめかす発言による脅し
- 盗撮・無断撮影
- SNS等へ労働者のプライバシーに係る情報の投稿や、機微な個人情報の暴露
- 過度な要求や長時間の拘束、繰り返しの苦情や威圧的態度
したがって、単なる「感情的なクレーム」ではなく、これらの悪質な行為に対して企業は毅然とした態度で「NO」と言う体制を整備しなければなりません。
3. 企業が「必ず講じなければならない」4つの対策
2026年10月の施行までに、企業が義務として整備すべきは、主に以下の4つの対策です。
①方針の明確化と周知
「従業員を守る」というトップの方針を明確にし、社内規程(就業規則)にカスハラに関する規定を盛り込むことが必須です。
さらに、従業員が具体的な行動を取れるよう、対応マニュアルの整備と、それに基づく全従業員への教育・研修が求められます。(例:録音・録画の実施ルール、対応困難時の打ち切り基準など)
② 相談体制の整備
被害者が安心して相談できる窓口の設置が義務づけられます。窓口は、ハラスメントの事実を広く受け付ける機能を持つ必要があります。
③被害発生時の迅速な対応
事案が発生した場合は、迅速に事実関係を確認し、被害者に対してはメンタルヘルスケアなどの配慮措置を講じます。
そして、悪質な事案については、警察・弁護士との連携や、加害者に対する出入り禁止措置をためらわず講じる体制が必要です。
④プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
相談内容や、性的指向などの機微な個人情報を含むプライバシーを厳重に保護します。また、相談や事実確認に協力した従業員に対して、解雇や冷遇などの不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
4. 研修講師からの提言:施行前の「準備期間」を活かす
この指針は、企業に「組織として従業員を守り抜く責任」があることを改めて示しています。
来年2月の指針公表を経て、各企業は施行までの期間に、社内規程の見直しや、研修体制の整備を急ぐ必要があります。
特に、現場の従業員が「いつ、どうなったら対応を打ち切ってよいか」を明確にしたマニュアルと研修は不可欠です。
企業の担当者の皆様、この猶予期間をただ待つのではなく、積極的な組織変革のチャンスとして捉えましょう。
カスハラ対策の充実こそが、従業員のエンゲージメントを高め、結果的に企業のブランドと生産性を守る、最も賢明な投資となるはずです。
職場におけるカスタマーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案
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