【コラム】部下のSOSに気づく管理職の「3つの視点」と日常の工夫

「メンタル不調の早期発見が大事」と言われても、どうやって気づけばいいのか。
そう悩む管理職の方は少なくありません。
しかし、それは「医者のような診断」ではありません。
日々の観察とコミュニケーションの中で、変化を察知する「センサー」になることが大切です。
ここでは、部下の心のSOSを見逃さないための具体的な視点と実践的な工夫をご紹介します。
1. 変化に気づく3つの視点(観察軸)
部下の不調サインは、普段の様子との「変化」として現れます。以下の視点を常に意識して、アンテナを張っておきましょう。
①「いつもとの違い」に注目する
周囲の人と比べるのではなく、その人自身の「変化」を感じ取る視点が大切です。
例えば、「いつもは明るく積極的に発言するAさんが、最近は会議でほとんど口を開かないな」「普段は細かく確認するBさんが、珍しく単純なミスを繰り返しているぞ」といったサインです。
これは、その人自身の「ベースライン」との乖離を捉える非常に重要な視点です。
②「小さな変化」を見逃さない
心の不調は、多くの場合、急に深刻になるのではなく、些細な変化が積み重なって進行していきます。
笑顔が減った、声が小さくなった、業務提出が遅れがちになった、挨拶がよそよそしい……など。
これらの小さな兆候は、部下が発するSOSのサインであり、見逃してはいけません。
早期に気づくことで、重症化を防ぐ可能性が高まります。
特に、変化が1〜2週間以上続いていないかは確認しましょう。 一時的な疲れではなく、継続して見られる場合は、声かけや支援を検討しましょう。
③「心・体・行動」の3側面を意識する
不調のサインは、感情(心)、身体症状(体)、そして日常生活や業務における変化(行動)の複合的な側面で現れる場合があります。
特に 心・体・行動のうち、2つ以上に変化が見られる場合は要注意です。
多角的に観察するようにしましょう。
何気ない雑談の中で、「最近寝不足で…」という一言にもヒントが隠れている場合があります。
2.変化に気づくための実践的な工夫
これらの観察軸を活かすには、日々のコミュニケーションが鍵を握ります。
①日常的な声かけ・雑談を習慣にする
- 定期的に部下と話す機会を持つことで、部下の「会話のベースライン」が確立されます。こ
のベースラインがあるからこそ、話し方や声のトーンの小さな変化に気づきやすくなります。
- 週に一度10分程度の短時間1on1ミーティングを設けるのも有効です。
業務の進捗だけでなく、「最近どう?週末は何してた?」といった業務外の雑談も交え、部下が話しやすい雰囲気を作りましょう。
②顔を見てあいさつする・業務外の話もする
- 対面(出社時)でもリモート(オンライン会議でカメラON)でも、部下の顔を見て挨拶を交わす習慣は非常に大切です。
表情や目の動きから、多くの情報が得られます。 - 業務に直接関係ない会話から、実は本音がポロッと出ることも。
部下との人間関係を円滑にし、安心して相談できる心理的安全性を育む土台作りとなります。
③「話しかけやすい雰囲気」を日頃からつくる
- 上司が忙しそうにしていたり、常にピリピリした雰囲気を出していたりすると、部下は「迷惑をかけたくない」「話しかけにくい」と感じ、不調を隠してしまいます。
- 「いつでも話を聞くよ」という姿勢を普段から示し、部下が安心して弱みを見せたり、困りごとを打ち明けたりできる環境を積極的に作りましょう。
これらの視点と工夫を日々のマネジメントに取り入れることで、部下の小さなSOSを見逃さず、部下の健康とチームの生産性を守ることができるでしょう。今日から実践できることばかりですので、ぜひ取り入れてみてください。

