【コラム】部下との信頼関係を築く傾聴力

上司として、部下と信頼関係を築くには何が必要でしょうか。
その鍵となるのが「話を聴いて受け止める力」です。
部下が悩んだとき、まず頼れるのは身近な上司です。
だからこそ、「この人には話してもいい」と思えるかどうかが大切です。
もちろん、カウンセリングの専門技術が必要なわけではありません。
必要なのは、「あなたの話に関心がある」という姿勢を伝えることです。
では、どうすれば部下は「聴いてもらえた」と感じるのでしょうか。
ここでは、信頼を育むための基本姿勢と実践スキルを紹介します。
1. まずは「話したくなる空気」をつくる|傾聴の基本姿勢
最初のステップは、「聴く準備ができている」という雰囲気を出すことです。
この空気づくりが、部下の心を開く第一歩になります。
- 話の途中で口を挟まない
沈黙があっても待ちましょう。相手が考えを整理している時間かもしれません。 - 体を向けて目を見る
スマホやパソコンから手を離し、顔を向けるだけでも印象は大きく変わります。
「あなたの話に集中しています」という無言のメッセージになります。 - 頷きや相づちでリズムを作る
「うん」「そうだね」「なるほど」などの相づちは、会話のテンポを整えます。
自然なリアクションが、安心感に繋がります。
👉 注意点:ながら聞きは厳禁です
「聞いてるよ」と言いながら別の作業をしていると、相手は「本気で聞いてないな」と感じます。
たとえ1〜2分でも、手を止めてしっかり向き合う姿勢が信頼を築くポイントです。
2. 言葉で「受け止めている」を伝える|共感の表し方
次に大切なのが、言葉で「聴いていますよ」という気持ちを返すことです。
うなずくだけでは、共感は伝わりません。
- 感情に寄り添った言葉を返す
「それは大変だったね」「そんなふうに感じたんだ」など、相手の感情を言葉にして返すと、「わかってもらえた」と感じてもらえます。 - 自分だったら…と気持ちを想像する
「たしかに、それは迷うかも」「自分でも同じように思うかも」といったフレーズは、共感を深める助けになります。
3. 会話を深めるスキル|質問・言い換え・要約
部下が話しやすくなるためには、「引き出す工夫」も必要です。
- 開かれた質問で自由に話してもらう
「最近、どう?」や「どんなことが気になってる?」など、自由に話せる質問を使いましょう。
「調子悪い?」といったYes/Noで終わる聞き方は避けたいところです。 - 言い換えや要約で理解を示し整理する
部下:「最近、残業が多くて、なかなか自分の時間が持てなくて…」
上司:「つまり、自分の時間がとれずにストレスがたまっている感じかな?」
こうした要約は、理解を示すだけでなく、部下自身の気づきを促します。 - 感情を言葉にして返す
部下:「「あの企画、一生懸命やったのに、結局ダメになっちゃって…」
上司:「それは、せっかく頑張ったのに、残念な気持ちになったんだね」
感情を言葉にしてもらうことで、部下は「自分の気持ちを分かってくれる人がいる」と感じ、より本音を出しやすくなります。 - 話の終わりに気持ちを確認する
「話してみて、少し気持ちは整理できた?」
こうした一言で、対話の満足感が高まり、「また話そう」と思ってもらえるのです。
まとめ:傾聴は「姿勢」が9割
部下の話を「聴いて受け止める」ことは、単なるスキルや技術よりも、「相手に関心を持ち、真剣に向き合う姿勢」が何よりも大切です。
部下にとって、「話を最後まで聞いてくれた」「否定せずに受け止めてくれた」という経験は、上司への安心感と信頼に直結します。
そしてその信頼こそが、困ったときにSOSを出せる相談しやすい関係や、問題の早期発見につながるのです。
今日から実践できることばかりです。
まずは、あなたの「聴く姿勢」をほんの少し意識してみるところから始めてみませんか。

