【コラム】AIに仕事を奪われる?本当に怖いのは「AIを使いこなせないこと」
AIに仕事を奪われるのが怖い?

「AIに仕事を奪われるのが怖い」
そう感じている方は少なくありません。
けれど、その恐れに足をすくわれて立ち止まってしまうことこそ、最大のリスクではないでしょうか?
先日、「AI × 変革 ~未来を語る」というフォーラムに参加しました。
そこで印象的だったのは、AIの進化の速さと、それに向き合う私たちの姿勢の差でした。
それにもかかわらず、日本では「導入すべきかどうか」「使った方が良いかどうか」という議論に時間を費やしている現状があります。
もし、このまま立ち止まり続けると、世界から大きく取り残されてしまうのではないか。
そんな強い危機感を覚えました。
世界から遅れる日本のAI導入
フォーラムとは別に、私は衝撃的な調査結果を目にしました。
アルテアエンジニアリングの調査によると、AIツールを1年以内に導入すると答えた日本の企業は、わずか18%。
調査対象となった10カ国の中で、最も低い数字でした。
一方で、中国やインドは70%以上という圧倒的な導入意欲を示しています。
(出典:IT Leadersより)
この差は、単なるツールの導入率の違いではありません。
これを見ても、日本が大きく出遅れているのがよくわかります。
AIはすでに「日進月歩」ではなく、「秒速分歩」での進化。
導入すべきかどうか、使うか使わないか
そんなことを議論している間に、世界は実践を積み重ね、次のステージへと進んでいっている。
もし私たちが「様子見」を続ければ、数年後には取り返しのつかない差が生まれるのは目に見えているように思います。
では、どうすべきか?
まずは「できることから始める」。それが未来を切り開く第一歩になるのだと強く感じます。
AIは“代替”ではなく“加速”の力
最初の疑問に立ち返ってみます。AIを導入すると本当に仕事は奪われるのか?
私はそうは思いません。むしろ逆だと思っています。
私は日々の業務にAIを取り入れ、生産性が2倍どころか5倍、10倍に感じられる瞬間を何度も経験しました。
面倒な調査・情報収集や定型作業はAIに任せ、その分の時間を「構想を練る」「人と対話する」といった人間にしかできない価値にあてる。
すると仕事の質そのものが大きく高まります。
これは、かつてインターネットが普及した時と同じではないでしょうか。
最初は「よくわからない」と避けていた人も、今や使うのが当たり前になりました。
AIも同じ道をたどるのだと思います。
ということは、今のうちに誰よりも早く「使う」ことでスキルを身につける必要があると感じます。
企業のAI導入はなぜ進まない?そして筆職人から学ぶヒント
では、なぜ日本の企業はAI導入に慎重なのでしょうか。
背景には、導入時のルール整備やセキュリティの懸念、さらには従業員の心理的抵抗などがあるのかもしれません。
しかし重要なのは、最初から全てをAIに任せる必要はないということです。
まずは小さな業務からステップを踏んで導入を始めれば、スムーズに進められる可能性が高いのです。
そのことをよく表しているのが、ある筆づくり企業の事例です。
当初、職人たちは「筆先の微細な不良をAIに見抜けるはずがない」「人間の感覚にしかできない」と強く抵抗したといいます。
まさに“心理的ハードル”が立ちはだかっていたのです。
ところが、AIにNGデータを学習させることで、チェック作業は正確かつ迅速に行えるようになりました。
結果として、職人たちは不良検査に追われることなく、「筆を作る」という本来の技に集中できるようになったのです。
今では「AIなしでは仕事が回らない」とまで言われるほど、AIは現場に不可欠な存在になっています。
この事例は、導入の最初に抵抗があったとしても、実際に小さな部分から使ってみれば、その価値を実感できることを教えてくれます。AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間の力を解き放つためのパートナーなのです。
今、私たちが選ぶべき一歩
日本は少子高齢化で労働人口が減少し続けています。
限られた人材で成果を上げるには、AIを味方につける以外に道はありません。
大切なのは、一気に全てを任せるのではなく、まずは小さな一歩を踏み出すこと。
文章の校正、会議資料の下書き、アイデア出しなど、身近な作業から試せばいいのです。
AIを恐れるのではなく、共に未来をつくるパートナーとして迎え入れること。
その選択が、私たちの仕事の質も、組織の競争力も、そして日本の未来も大きく左右するはずです。


