【コラム】メールのやり取りが冷たく感じるとき|コミュニケーションの温度差、どう埋める?

メールが冷たい!

「この人、会うと感じのいい人なんだけど…」

ある方との日常的なやり取りの中で、私が感じていた小さな違和感。

メールでは、いつも必要なことだけを端的に書かれます。

挨拶や余計な言葉は一切なく、まさにビジネスライク。

なので、メールが来るとちょっとビクッ!としてしまう。

しかし、直接会うと、表情も豊かで相手を思いやる姿勢で接してくださる。

なんなんだ!この違和感は・・・
私はその方が悪い人ではないとわかっているつもり。
それでも、メールのやり取りだけだと、どこか冷たく感じてしまい、正直、少し苦手意識を持ってしまう。

端的なメールも、思いやりの形

メールに余計なことは書かず、必要なことだけを端的に伝える。
そう意識している人は少なくありません。

誤解を招かないように、あるいは相手の手間を減らすため。

これは、ある意味で相手を思いやる姿勢でもある。

私もその考え方には頷けます。
一方で、感じ方は人それぞれ。
簡潔な文面を好む人もいれば、短い中にも「人間味」を感じるひと言があると安心できる人もいます。

実際、先日行った新入社員のフォロー研修で、こんな相談がありました。
「上司からのメールがとてもそっけなくて、怖いんです。もしかして怒っているのかと不安になります」と。

どんなメールだったのかを聞いてみると——

件名:会議時間の変更
本文:明日の会議は14時からに変更になりました。

要件はシンプルで、内容は一目でわかります。
それなのに受け取った新入社員は、「何か自分が悪いことをしたのでは?」と不安になってしまったそうです。
もちろん、上司に悪気はなく「必要なことを誤解なく伝えたいだけ」だったはずです。

ここにあるのは悪意ではなく、スタイルの違い
それでも、受け取り手によっては大きな誤解につながってしまうこともあるのです。

最近では「メールやSNSの文章に“”があると怖い」と感じる若い世代の感覚が「マルハラ」と呼ばれることもありますが、これも根底にあるのは同じことかもしれません。
伝える側と受け取る側で、温度の感じ方がずれることは珍しくない

だからこそ、相手の立場や受け止め方を意識したうえで、

  • あえて一言添える
  • 相手の反応を見ながら調整する
    といった工夫が、人間関係を柔らかく保つポイントになるのだと思います。

AIもそうかもしれない——温度感の受け取り方は人それぞれ

最近話題のGPT-5も、このテーマに通じるのだと思う。
「冷たく感じる」と言う人もいれば、「要点を押さえてくれるから効率的で好き」という人もいる。

つまり、人によってちょうどいい温度は異なるということ。
温かさや共感を大事にする人もいれば、簡潔で事務的な文面を好む人もいる。

そう考えると、自分の基準をそのまま相手に当てはめるのではなく、相手の好みに寄せる意識が大切なんだな。

改めて、伝え方の正解は人の数だけあるのだと感じます。

「誰にでも効くテクニック」はない

先日実施した管理職研修の中で、「どんな伝え方が効果的なのか」というテーマに対し、さまざまなテクニックやフレームワークを紹介しました。

そのうえで、実際の部下を想定しながら、「この部下にはどんな伝え方が伝わるか?」をテーマにグループディスカッションとロールプレイを行いました。
「理屈で話すと伝わるタイプ」「表情が曇ったら無理してでも聞いた方がいいタイプ」など、言葉にならない反応をどう読み取るかをみんなで考える時間に。

相手の反応を観察し、柔軟に伝え方を変えることの重要性を、皆さん自ら体感されていました。

つまり、伝え方にはさまざまなフレームワークはあるけれど、唯一の正解があるわけではないので相手によって柔軟に変えること。

言い換えると、良いと言われるフレームワークもタイプにあっていなかったら、逆効果になることもあるということ。

一文の温度が、関係性を変える

私は個人的に、文章だからこそ温かさを伝えたいと思うタイプです。

ご連絡ありがとうございます。お忙しい中ご対応いただき感謝します。

こんな一言があるだけで、「気にかけてくれている」と伝わり、関係がぐっと近づくことがあります。

こんなことを言うと、「関西の人は人情深く、関東の人はドライだから」といった印象を口にする人もいますが、これもアンコンシャスバイアスのひとつかもしれません。

自分の心地よさが、相手にとってもそうとは限らない。
だからこそ、自分のスタイルを押し通すのではなく、相手にとって心地よいコミュニケーションとは何かを考えることが、対人関係の鍵になると感じます。

伝え方ひとつで、関係性はやわらかくなる

メールや会話の温度感は、ちょっとした工夫で変えることができます。

相手のタイプにあわせて一言添えるだけで、冷たく感じていたやり取りが温かくなり、心の距離が縮まることも。

また、文章は表情などの非言語がない分、丁寧な表現を心がけることも大切です。

例えば、クッション言葉や依頼形。

研修の中でも感じたことですが、伝え方に「絶対の正解」はありません。
その場の相手、その時の状況に応じて、変化させる力がコミュニケーションには求められます。

もし、職場のやり取りやメールの中に「ちょっとした誤解」や「言いづらさ」を感じているなら、伝え方を見直すチャンスかもしれません。
実際、研修の場でこうしたテーマを扱うと、「自分も気をつけようと思った」「明日から使えるヒントがあった」と多くの方に響いています。

心地よい距離感をつくるために。
自分のん伝え方を振り返り、何か気づいたら少しだけ変えてみませんか?