【コラム】職場での呼び捨てはNG?ハラスメントと見なされる理由と心理

職場の「呼び捨て」、あなたの会社では当たり前ですか?

「おい、そこの君!」「○○、さっさとやれ!」

職場でこのような呼び方、耳にすることがありませんか?

一昔前は当たり前だったかもしれませんが、時代は変わりました。

かつては当たり前だった呼び捨ても、今はハラスメントの温床になりやすい行為とされています。

実は、このコラム以前にも書いたことがあるのですが、非常に検索率が高く、また研修でも質問が多い項目なので実際にあった事例を交えてリライトします。

*以前に書いたコラムはこちら「職場で部下を呼び捨てにするのはハラスメントなのか?」

法律的にセーフ?それともアウト?

では、どこからがアウトなのでしょうか。

結論から言えば、「呼び捨て」だけで即違法とは限りません
しかし、厚生労働省のパワーハラスメント指針(労働施策総合推進法)によると、以下の3条件を満たす場合はパワハラに該当する可能性があります。

  1. 優越的な関係を背景に
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超える言動をし
  3. 就業環境を害する(身体・精神的苦痛を与える)

(参考:厚生労働省「職場におけるパワーハラスメントについて」)

職場でよくある「呼び捨て」アルアル事例

たとえば

ケース1:日常的な「おい、お前」

若手社員Aさんは、上司Bさんから常に「おい、お前」と呼ばれます。
時には人前で「○○、何やってんだ!」と怒鳴られることも。
→ Aさんは、「お前」や「呼び捨て」されることに不快感を感じてモヤモヤしていました。

継続的かつ公然と行われれば、精神的攻撃と判断される恐れがあります。

ケース2:同僚間ではOKでも上司が使うと…

同じ部署のCさんとDさんは仲が良く、普段からお互いを呼び捨てで呼び合っています。
ある日、Dさんが体調不良で休んだため、上司がCさんにこう言いました。

「おいD、じゃなかったな。C、お前頼むわ!」

Cさんは、呼び捨てされたことに驚きましたが笑って流しました。

しかしその後も上司が人前で「C!」と呼び捨てにするようになりました。
この発言自体は「親しみ」や「親密さの表現」だったかもしれません。しかし、その後も上司がCさんに対して「C」と呼び捨てで呼ぶようになると、Cさんは次第に不快感や威圧感を覚えるように。

仲間内での呼び方は問題になりにくいですが、上下関係の中で上司が部下を呼び捨てにするのは、相手に「軽んじられている」と感じさせる可能性があり威圧的と受け取られやすくなります。ます。
厚生労働省のパワハラ指針でも、「上司から部下への人格を否定するような言動」は、回数や場面によってパワハラに該当し得るとされています。

呼び捨てする心理——職場によくある3つの理由

1.職場の慣習・風土だから
「昔からそうだった」「この部署では当たり前」という文化が理由で続いているケースです。
これが一番、私がよく聞く理由です。

研修でも「呼び捨ては、避けましょう!」と言うと「今まで呼び捨てしかしたことないのに、いきなり『さん付け』したら気持ち悪く思われる」と言った声もよく上がります。
しかし、時代や価値観の変化に合わせて見直す必要があります。

2.親しみやすさ・距離を縮めたい
「堅苦しくしたくない」「フランクに接したい」という意図で呼び捨てを使う場合があります。
一見良い関係に見えますが、立場や場面が変われば逆効果になることもあることを知っておきましょう。

自分はそう感じても、他者が同じように感じるとは限りません。

3.威厳や優位性を示したい
「なめられたくない」「自分の立場を強調したい」という心理から呼び捨てを使う上司もいます。
これは相手にプレッシャーを与え、関係性を硬直化させやすい危険な使い方です。

呼び捨ては、同じ言葉でも立場や関係性によって意味が変わります。
親しみのつもりが威圧感になったり、慣習がハラスメントの温床になったりすることも。
職場での呼び方は、「相手がどう感じるか」を基準に、敬意を込めた言葉づかいを心がけましょう。

なぜ呼び捨てはハラスメントの温床になるのか

  • 心理的安全性が損なわれる
    呼び捨てされると萎縮し、意見や報告をしづらくなります。
  • 尊重の欠如というメッセージ
    無意識のうちに「あなたを対等に見ていない」と伝わります。
  • 職場風土の悪化
    他の社員もまねし、攻撃的な雰囲気が蔓延します。

働きやすい職場づくりのための具体的な解決策

では、どうすればこの問題を解決できるのでしょうか?

1.一番の解決策は、社内全体で「さん付け」を徹底すること

役職や年齢に関係なく、お互いを「さん」付けで呼び合うルールを導入しましょう。

これにより、上下関係の壁を取り払い、対等なコミュニケーションを促進することができます。

今や「さん付け」運動を展開している企業様も多いです。

2.経営陣や管理職が率先して実践すること

上の立場の人ほどルールを守ることで浸透します。

3.ハラスメント研修も効果的

なぜ「呼び捨て」が問題なのか、どのようなリスクがあるのかを全社員が共有することで、ハラスメントの芽を摘み取ることができます。

言葉は、時に人を傷つけ、職場の空気を悪くします。

しかし、言葉は、人を元気づけ、最高のチームを作る力も持っています。

「呼び捨て」をやめ、「さん付け」に変える。たったこれだけのことで、あなたの職場は大きく変わる可能性があります。

今日から、職場のコミュニケーションを見直してみてはいかがでしょうか。