【コラム】無意識のメッセージに気づく
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は、言葉だけでなく「雰囲気」や「態度」にも表れます。
とくに、意図せず相手を不快にさせたとき、そのサインは言葉以外のところに現れるものです。
相手の変化、気づいていますか?
たとえば、こんなことはないでしょうか。

- さっきまで笑っていた相手が急に無言になった
- 目をそらされた
- 声のトーンが急に落ちた
- 会話の途中で話題を変えられた
- 表情が固まり、眉間にしわが寄った
これらはすべて、言葉には出ない「非言語メッセージ」です。
何気ない雑談や打ち合わせの最中にも、こうした変化は頻繁に起きています。
非言語メッセージは、こんな場面であらわれる
では、職場でよくある場面をいくつかご紹介します。
- 「時短勤務だから無理でしょ」と言った後、相手が急に無表情になった
- 「若いのに、よくやってるね」と伝えたら、照れ笑いの後に目をそらされた
- 「そんなことで落ち込むの?」と声をかけたら、その場が静まり返った
- 「この仕事は男性向きかな」と言った瞬間、女性メンバーの顔がこわばった
- 「子育てしてるから大変だよね」と言ったら、急に話題を変えられた
- 「どうせすぐ辞めるでしょ」と言ったら、相手が席を立った
- 「それ、常識だよ」と言った直後、相手が眉をひそめた
- 「文系の人にはわからないかも」と言ったら、苦笑いされた
- 「前も同じこと言ったよね」と言ったら、腕を組まれた
- 「何度言ったらわかるの」と強めに言ったら、黙り込まれた
これらの違和感は、もしかするとアンコンシャス・バイアスが表れているサインかもしれません。
3つの「見る」と2つの「変化」に注意
非言語メッセージに気づくには、次の5点に意識を向けてみましょう。
【3つの見る】
- 表情:こわばる・ひきつる・笑顔が消える
- 目線:そらす・合わない・下を向く
- 態度やしぐさ:腕を組む・姿勢を崩す・髪を触る
【2つの変化】
- 話し方:急に早口・無言になる・声のトーンが下がる
- 反応:話題を変える・否定的な態度になる
気づいたら、振り返ってみる
こうした変化に気づいたら、まずは自分の言動を振り返ってみましょう。
- 直前にどんな言葉を発したか?
- 言い方や態度はどうだったか?
「これはバイアスが出ていたかも」と思ったら、素直にフォローしましょう。
「さっきの言い方、気になったらごめんね」「もしかすると嫌な気持ちにさせてしまったかも」と、一言添えるだけでも印象は変わります。
心の余裕がないときこそ注意
焦っているとき、忙しいとき、ストレスが溜まっているとき。
あるいは、自分が相手より立場が上だと感じているときほど、バイアスが出やすくなります。
言葉が乱暴になったり、相手への配慮を欠いてしまうことも。
だからこそ、普段から「気づく力」を鍛えておくことが大切です。
気づくことで、関係性が変わる
アンコンシャス・バイアスは、完全に消すことはできません。
しかし、気づいて対処することはできます。
相手の非言語メッセージを丁寧に受け止めること。
そして、自分の言葉や態度を柔軟に見直していくこと。
それが、相手との信頼関係を深め、良好なコミュニケーションを築く第一歩になります。