【コラム】バイアスに気づく習慣:押しつけをやめて言い換える
アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)は、「押しつけ」の言葉として表れることもあります。
今回は、そんな押しつけの表現に注目し、よりよい対話のための言い換えを考えてみましょう。
まずは、こんな経験ありませんか?
自分と違う意見を聞いたとき、つい「そんなはずはない!」と口にしてしまう。
または、何気なく言ったひと言が相手を傷つけてしまった。
そんな経験はないでしょうか。
実はそれ、「押しつけ」の言葉かもしれません。
「押しつけ」の3つのタイプ
押しつけの言葉には、次の3つのタイプがあります。
① 解釈の押しつけ
たとえば、こんな表現です。
- 「そんなはずはない」
- 「それは間違っている」
- 「つべこべ言わずにやって」
これらは、自分の考えが正しいという前提のもとに、相手の考えを否定する言葉です。
言われた側は、話を聞いてもらえない、受け入れてもらえないと感じてしまいます。
言い換え例:
- 「私はそうは思わないけれど…」
- 「そう感じる理由をもう少し教えてくれる?」
- 「違う見方もあると思う」
② 理想の押しつけ
続いては、理想や期待を押し付けるような言葉です。
- 「こうするべき」
- 「まだ終わらないの?」
- 「できて当然でしょ」
これらは、「自分ができる=他人もできる」という前提からくるものです。
しかし、人には得意不得意や事情があります。
理想の押しつけは、相手のやる気をそぐだけでなく、信頼関係を壊してしまうことも。
言い換え例:
- 「こうした方がいいかもしれないね」
- 「どのくらいでできそう?」
- 「手伝えることがあれば言ってね」
③ 基準の押しつけ
最後は、自分の基準で相手を判断する言葉です。
- 「そんなことで悩むなんて」
- 「これだけしかできなかったの?」
- 「普通ならもっとやれるよ」
以前、私も「そんなことで悩んでるの?」と言われ、話す気が一気になくなったことがあります。
こうした言葉は、相手の背景や努力を無視した評価となり、不信感を生む原因になります。
言い換え例:
- 「そういうことだったんだね」
- 「ここまでやってくれてありがとう」
- 「何かサポートできることはある?」
押しつけない対話が信頼を生む
では、なぜ「押しつけ」の言葉が出てしまうのでしょうか。
それは、私たちが「自分が正しい」と思いたい気持ちや、経験に基づいた解釈を持っているからです。
また、「自分の考えを否定されたくない」という防衛反応も影響しています。
けれども、相手の感じ方や解釈は自分と異なるもの。
だからこそ、自分の言葉に意識を向けることが大切です。
「言い換え」で関係性が変わる
言葉を変えることで、伝わり方も変わります。
一方的な押しつけではなく、対話をベースにした表現に言い換える。
その小さな工夫が、職場の雰囲気や信頼関係を大きく変えていきます。
ぜひ、まずは自分の言葉から見直してみましょう。