【コラム】身近に潜むアンコンシャスバイアス
私たちの判断には、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が大きく影響を与えています。
それは日々の仕事や生活の中に静かに潜み、採用・評価・キャリア形成など多くの意思決定に影響を及ぼします。
一説によるとアンコンシャスバイアスは、200種類以上もあると言われていますが、ここでは代表的なバイアスについてご紹介します。
【採用に影響を与えるバイアス】
- ステレオタイプバイアス
属性で応募者を判断してしまう。
例:
「高齢者はITに弱い」
「女性は育児で忙しいから責任ある仕事は難しい」 - ハロー効果
外見や第一印象の良さが全体評価に影響。
例:
「見た目が爽やかだから営業向きだろう」
「服装が地味なので積極性がなさそう」
【評価・人事に影響を与えるバイアス】
- 正常性バイアス
問題や変化の兆候を「まだ大丈夫」と軽視する。
例:
「部下の報告の遅れはたまたまだろう」
「多少のキツク叱責しても昔は普通だったから大丈夫」 - 権威バイアス
上位者や専門家の意見を過大評価し、その通りだと思う。
例:
「部長が推薦しているから評価に異論はない」
「専門家が言うことだから間違いないだろう」 - 類似性バイアス
自分と似ている人物を過剰に評価する。
例:
「自分と同じ大学だから信頼できそう」
「共通の趣味があるから安心感がある」
【キャリア・登用に関するバイアス】
- 慈悲的差別(保護的バイアス)
相手を配慮したつもりが機会を奪ってしまう。
例:
「子育て中だから昇進の話はやめておこう」
「小さな子どもがいるから海外出張は無理にだろう」 - インポスター症候群
自分の実力を過小評価して、キャリアを諦めてしまう。
例:
「周りは優秀だから私なんかが昇進していいのか…」
「周りの人はリーダーの実力があると言うが、私なんか…」
【働き方・日常判断に関するバイアス】
- 集団同調性バイアス
多数派に合わせて自分の意見を引っ込める。
例:
「みんな黙っているから自分も言わない方がいいかな」
「ハラスメントが横行しているがみんな見ぬふりをしているから知らないふりをしよう」 - 確証バイアス
自分の考えに合う情報ばかり集めて信じてしまう。
例:
「やっぱりA案がいいという記事ばかりを検索してしまう」
「自分が正しいと思う情報だけを集める」 - ラベリングバイアス
一度ついた印象やレッテルを変えられない。
例:
「一度失敗した人はまた失敗するに違いない」 - 現状維持バイアス
今のやり方に安心し、変化を避けてしまう傾向。
例:
「この評価制度で長年やってきたから、変える必要はない」
「うちの会社は昔からこの雰囲気だから多様性とか言われてもピンとこない」
アンコンシャスバイアスは、悪意のない「無意識」の中に潜んでいます。
しかし、それに気づかなければ組織の成長を妨げたり、優秀な人材の活躍を阻む結果にもなりかねません。
また、自分のキャリアや生き方にも影響を与えることになります。
まずは気づくことからはじめましょう。